武蔵野ルネさんの世界観
武蔵野ルネさんは、多摩美術大学日本画科卒業後、画家・イラストレーターとして、キャリアをスタートさせました。
現在では、東京のデザイン会社に籍を置き、書籍や雑誌のイラストや、WEBのデザインを担当。その傍ら都内の高校で美術教師としての肩書もお持ちです。
ジャンルにとらわれず、さまざまなメディアで活動する武蔵野ルネさん。彼女の世界観は日本のみならず、海外からも注目されています。
左:新書館「クララ」特集ページ 右:新書館「クロワゼ」2014年夏号
左:新書館「クララ」特集ページ 右:グラフィック社 キャラデザ★デッサンVol.2「少女の描き方」扉
初めて請け負った壁画の制作。大物ロックミュージシャンのビルに描かれた作品は、訪れたファンの写真スポットになっています。
海外で製作した作品。海に潜って実際に見た魚を描き、浜の砂や貝殻も画材に用いて「土地に根付く絵」を表現した思い出の作。
武蔵野ルネさんが最も得意としているのがバレエをモチーフにした作品。
6歳から始めたバレエの経験を生かした画力はバレエ関係者からも高い評価を得ています。
右の『ドン・キホーテ』のカトリは、武蔵野ルネさんが名刺に使用するほどお気に入りの絵
武蔵野ルネさんは「めぐろのY子」名義で2007年からブログ『めぐろのY子より』を運営しています。介護を伴う母との笑いあふれるエピソードが大人気となり、2008年には書籍化されました。現在でも「FC2ブログ」1600万アクセスを突破する人気を誇っています。
武蔵野ルネさんとのつながり
わたしたちとの出会いは2012年「書きま帳+」でダイアリーの製作を請負ったのがはじまりでした。その後「ガップリ!の絵本」発行の絵本『いつか自分の絵本をつくるんだ』の制作をしていただいたことがきっかけで、絵本大賞「絵本の夢を叶えちゃおう!」を共同で企画開催しました。
武蔵野ルネさんは『いつか自分の絵本をつくるんだ』の表紙に遊び心を入れ込みました。
初版『大丈夫 大丈夫』の読者の感想
『大丈夫 大丈夫』は、2012年、限定出版だったにも関わらず2,400部を売り上げるヒットとなった伝説の絵本です。
左:2012年の初版 右:2022年、超高精細フルカラーデジタル印刷で甦った新装復刻版(ダブルカバー)
初版を読んだ方から「励まされた!」「げんきになった」「癒やされた」など、たくさんの感想が寄せられました。
『大丈夫 大丈夫』の限定販売が終了した後も「読みたい!」という声が多数上がり、購入した方との貸し借りが行われたそうです。
- なんて優しい言葉。なんて穏やかな絵。とげとげしていた心が丸くなり、少し下向きだった気持ちが、クッと上を向きました。叱咤激励されるより深く心に染みました。
- 絵本に携わった方々の、あたたかい気持ちや思いが、薬のようにじわじわと、効いてくるようです。みんなに応援してもらってると思うと、孤独ではないんだと、勇気が出てきます。
- 目の前のことに不安になりがちだけど顔をあげたら先が見える。大丈夫だと、自分を生きて行こうと思いました。ずっと寄り添って生きていける、そんな絵本です。
著者・武蔵野ルネさんのインタビュー
最後に、武蔵野ルネさんから『大丈夫 大丈夫!』を作った理由、今回復刊しようと思ったきっかけをうかがいました。そして武蔵野ルネさんは、10年前との比べた環境や心境の変化、そして皆さんに伝えたいことを語っています。
自分が社会人になったときに、世の中って想像以上に大変だと実感しました。
今まで、日記にはその日に起こったことを書いていましたが、その頃からひとの話を聞いて心に残った言葉や、自分を励ます言葉を書き留めるようになっていました。いつしか、それが安らぎの時間になり、気がついたらその日記が何十冊にもなっていたんです。
あるページには『大丈夫 大丈夫』のベースにもなった「自分が自分の応援団になってあげる」という一言が。
過去の日記を見返すと、膨大に書き綴った言葉の中には、どんなに心境が変わっても、ずっと好きな言葉や空間、空気感、例えば、夏の夕方によその家から香ってくるカレーの香りや、雨上がりのアスファルトの香り、草刈りした後の原っぱの香りなどの存在があって、今でもそれらが私を癒してくれています。
主人がひどく落ち込んでいた時期、どんなに励まそうと思っても、相手には何の言葉も届かなくって、私はただ見守ることしかできなかったんです。
でも、そのとき今まで自分が癒やされてきた大好きな言葉や空気感をカタチにして、主人を元気づけられることができたらいいなと思って、絵本を作ろうと考えました。
最初は大切な人を癒やすつもりで絵本を作っていたのに、気がついたら自分が力をもらえる方になっていました。
10年前に絵本をつくった後、大変なことが身に降り掛かって来て、実はヘロヘロになってしまったんです。何とか立て直せた……と思ったら、まさかのコロナ。そんなとき、ふと『大丈夫 大丈夫!』を手にとって眺めていたら、ページをめくるたびに「わかるよぉ~」と、自分でも驚くくらい号泣してしまったんです。さすがに10年も経てば、内容的に考えが変わってもいいはずなのに、どこもぶれるところがなかった。共感できるところばかりで「この絵本はスゴイ!」。そう思っていた時期に、「もう一度、絵本を元気にしませんか?」というお声をかけていただいたんです。
最初は迷ったんですが、10年経って作者本人を泣かせる絵本って「何かしらの力」はあるんじゃないかなと。
近ごろの、ちょっと重い空気感が充満するこのご時世に、この絵本が出版されたら、元気づけられる人がいるんじゃないかなってお引き受けすることにしました。
自分で言うのもなんですが、この絵本は押し付けがましくなくて「なんかあったら支えるよ!」的な……。わかる人にはわかるし、今わからない人でも、いつかわかる「時間をタイムトラベル」できる本。手元にあって、ちょうどいい存在の絵本であったらいいなと思います。
「結局大丈夫よ!」っていうことをお伝えしたいです。
「大丈夫だよ」と言い切って、本を作ってから10年間、実は「この世には大丈夫じゃないできごとがあるんだ!」と、改めて実感するようなことばかりが起こりました。だから「大丈夫!」と軽く言ってしまった絵本を作ったことにちょっと疑問を持ってしまったこともあったんです。
でも、大丈夫じゃない時期に学んだことは、大丈夫じゃない状況からは逃げてもいいし、手放してもいいということでした。乗り越えようと無理するのではなく、ここは一旦逃げようとか、手放して体制を整えようとか、それまでの「体験」が色々と教えてくれました。
今は、それが一番重要なことだと思っていて「結局大丈夫、逃げても隠れてもいい。休んだっていいんだから!だったら大丈夫でしょう?」って。
実際、逃げたり隠れたり休んだり立ち止まったりして嵐が過ぎるのを待つことで、本当に救われたんです。
大丈夫の言葉の汎用性が増え、可能性が広がったのが、今回の『大丈夫 大丈夫!』。だから、「大丈夫って言う言葉」を嫌わないでほしいなぁ。みんなが「大丈夫だよ」っていう言葉をどこかで持っていてほしい。
何してもいいよ! アナタは結局、救われるからね、ということを伝えたいです。
アナタは結局、救われるからね、ということを伝えたいです。







