“ぷちパリ”創設の理念
「日本には千年にもわたる絵本の歴史があります」。日本人なら誰もが知る『源氏物語』や『鳥獣人物戯画』などの絵巻物は、我が国を代表するれっきとした「絵本の源流」です。
中国で発明された紙と木版印刷が仏教伝来と共に日本に輸入されたのは、西洋でグーテンベルグの活版印刷技術が発明されるはるか以前の奈良時代にまで遡ります。西暦770年、日本で最初の印刷物となる『百万塔陀羅尼経(ひゃくまんとうだらにきょう)』は、日本最古の、そして世界史上でも最古の印刷物として燦然と輝く名を遺しているのです。
我が国独自に創作され進化・発展を遂げてきた手作りの「絵本文化」と版木による「印刷技法」が組み合わさり一気に花開いたのは、江戸時代に入ってからのことでした。「読み書きそろばん」という合言葉が示すように、一部の限られた人の目にしか触れてこなかった読本や絵草(双)紙は、文化の主体が町民へと移りゆく時代(とき)の中で「木版印刷技術」が広く普及したことで、一気に「大衆文化」の担い手となる媒体(メディア)となっていきます。そして、現在へと営々と続く「本屋(出版業)」という新しい商業出版事業が誕生することとなっていきました。
“ぷちパリ”プロジェクト構想は、このような日本固有の歴史的、文化的な背景をもった「絵本文化」の「新たな潮流を創ること」を目的として創設されました。
私たちの生活や社会を取り巻く政治・経済・世界の環境は、この3年余の間にも、かつてないほどの激変を繰り返して今日へと至っています。インターネットやデジタルを駆使した情報流通やデバイスの拡充には目を見張るものがあります。そして、これらの変化は、止まることなく未来に向かって一直線に進んでいきます。
文化・芸術の多様性とは、その国固有の歴史・文化・芸術の中にある多様性を意味しています。日本語の源流には「言霊(ことだま)」があり、絵・絵画には同様に「作者の魂と理念」が息づいています。“ぷちパリ”プロジェクトは、この原点に回帰しつつも「移りゆく時代」に即した「絵本文化の新たな世界」を創造していく出版・コンテンツ事業の構築と事業化を目指していきます。
“ぷちパリ”事業の基盤
私たち第一資料印刷は、68年の社歴の中で培ってきた種々様々な委託事業での成果とノウハウ、人材などを基盤とし、新たに「ぷちパリBOOKS」事業を“ぷちパリ”プロジェクトの中核事業として育成していきます。
この総指揮を執るNBD事業部では、この10年の間に「ガップリ!」、「書きま帳+」、「ガップリ!オリジナルカレンダー」「ガップリの絵本」、「タバネッタ」という事業を興し、「ぷちパリBOOKS」事業の土台を築いてきました。これらの製作物総数は、約4万余点。絵本の注文製作は、2018年からスタートし、2022年末までには約400点を数えるまでに成長。いまの「絵本時代の一端」を担ってきました。
我が国では年間1500点ほどの絵本が、毎年、出版・流通されていると言われています。マンガ全盛の出版界にあって、より広範な読者層をもつ絵本の需要はまだまだ広がりを見せていきます。
絵本とは、「絵と言葉があり、この二つの要素が互いに補完しあったり、高めあったりして、構成されている本」と定義され、言葉の代わりに、文字や文章、詞などを用いるものまで幅広い世界観をもっています。絵本とは「無限の可能性をもつ出版物」なのです。
また、幼少期の子どもにとっては「一つの経験」となる、という非常に重要な役目を担っている出版物でもあるのです。
“ぷちパリ”プロジェクト構想では、このように堅固な事業基盤を保ちつつ、汎用性が高い事業ドメインに参入するにあたって、高邁な理念と理想を掲げつつ次代が望む「新しい絵本」の創作と出版事業の構築・展開を進めていきます。
“ぷちパリ”BOOKSの展開
そもそも“ぷちパリ”とは、どのような「由縁」から名付けられた「名称」なのかをご説明していきましょう。我が国では、幕末維新期に政治・経済・社会・文化が激変し近代的立憲国家へと変貌を遂げていきました。そして、この時期に印刷技術と出版事業は、重要な産業として「文明開化」運動と深く関わっていきます。現在の市ヶ谷・飯田橋・神楽坂界隈は、明治以降に隆盛・発展した「印刷業」と「出版業」が集まるメディア事業体の一大集積地となっていきました。
神楽坂は、戦前・戦後を通じてフランスとの関係は古く、現在では、アンスティチュ・フランセ東京(旧東京日仏学院)がフランス文化の発信拠点として堂々とした威容を放っています。
このような歴史的な背景もあって、多くの外国人来訪者から神楽坂は「little Paris(ぷちパリ)」と呼ばれているのです。
“ぷちパリ”は、このような地縁と、自国の歴史・文化・芸術に誇りをもち、その発展に情熱を傾け努力を惜しまない姿勢に、私たちの事業構想を重ね合わせたことから命名をいたしました。
“ぷちパリ”プロジェクトは、「絵本(Picture Book)が無限の可能性をもつ出版物」であることを事業構想の基盤としています。そのために多くのアーティストや様々なクリエーター、種々の職人の方々と「協働」していくことを、その使命の一つとしています。
また当然のこととして、アナログ、デジタルという分類を問うこともいたしません。唯一作品、製作物の多様性と新規性、そして、何よりも「文化の力で世界の平和と未来社会を創っていく志」を共有し、相互理解とコミュニケーションを尊重していくという姿勢があるだけです。
これまで以上に「変化のスピード」が増していく環境の中で、読み手と創り手が、お互いに寄り添い合い、グローバルな創作活動を通じて「場と時」を超越した読書空間を展開していけるような事業を立ち上げていく“ぷちパリ”BOOKSに、是非とも、ご賛同・ご参加していただけましたら幸いです。
IMAGINE、想像してみてください。
きょうよりも素晴らしい明日を。夢が広がり、それを実現していく力がみなぎる今日を……。
撮影協力:ふらんす菓子屋 ぼんりびえーる(写真左)







